ＪＥＲＡ向け内航石炭船２番船竣工
日本郵船、有人自律運航実現へ新システム試験導入

　日本郵船は４月28日、同社が発注したＪＥＲＡ向けの内航石炭専用船“しらなみ”が本田重工業の佐伯工場（大分県佐伯市）で竣工したと発表した。2022年７月に竣工した“うしお”の姉妹船で、国土交通省が実施している「海事産業集約連携促進技術開発支援事業」の一環として有人自律運航の実現に向けて航海系と機関系それぞれに新システムを試験導入。内航海運の船員不足や長時間労働の解決も視野に入れている。
　竣工に先立って行われた命名式には、ＪＥＲＡの中村直常務執行役員最適化管掌、日本郵船の鹿島伸浩専務執行役員をはじめとする関係者が出席した。
　新造船に搭載した航海当直サポート機能は、カメラによる視覚的情報と各種センサー情報の統合によって周囲の船舶交通情報の信頼性を向上させ、それを元に避航計画の立案を行う。今後行う実証実験の結果と“うしお”の運航データを有人自律運航の安全性向上に生かす。また、本船機関の陸上管理システムとシミュレーション技術を活用した独自のシステムを採用。機関の異常検知に加えて異常原因の推定が可能になることで、安全運航と乗組員の作業負荷の軽減を図る。
　新造船は１番船の“うしお”と同じく、ＪＥＲＡと日本郵船の輸送契約に基づいて郵船の関連会社のアジアパシフィックマリン（福岡県北九州市、伊東純一社長）が運航し、東京湾内の中継基地から横須賀火力発電所向けの海外炭２次輸送に従事する予定。粉じん対策のためにハッチカバーを密閉して揚げ荷役を行うことができるなど、環境に配慮した設計となっている。
　“しらなみ”の主要目は、全長126.99ｍ、全幅24ｍ、9714総トン、8628重量トン。船籍は広島県東広島市。