2026年9月1日記事広告無料公開記事
【PR】理研計器
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アンモニア漏えいを“見える化”
理研計器、カメラ開発で船員の安全性向上
産業用ガス検知警報器大手の理研計器は、アンモニア燃料船など次世代燃料船の普及を見据え、アンモニアガスの漏えいを可視化する「ガス漏えい可視化システム」の開発を進めている。従来のガス検知器では把握が難しかった漏えい箇所やガスの拡散状況をリアルタイムで可視化し、船員の安全確保や迅速な避難判断につなげることを目指す。
試作機で大気中のガスを捉えたようす(アンモニアに特性が類似した代替ガスを使用)
脱炭素化の流れを受け、アンモニア(NH3)は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代燃料として期待されている。一方で毒性や腐食性が高く、漏えい時には重大事故につながる恐れがある。このため、従来のガス検知器だけではなく、漏えい状況を面的に把握できる新たな安全対策が求められている。
このシステムは、スタートアップ企業の株式会社Soilook(ソイルック)と共同で開発を進めている。同社の赤外分光技術を活用し、アンモニア特有の赤外線吸収特性を利用してガスを画像として捉える。可視画像と赤外画像を合成し、AIでガスの有無を判定。ノイズを除去・解析し、24時間365日の無人監視を実現する。
開発中のシステムでは、カメラから約30メートル先までのアンモニア漏えいを確認できることを実証済みだ。濃度測定ではなく、アンモニアの存在を高い精度で判定する方式を採用している。
最大の特徴は、従来のガス検知器との役割の違いにある。ガス検知器は設置地点の濃度を点で測定するため、ガスが検知器まで到達しなければ検知できない。一方、ガスカメラは空間全体を面で監視することで、漏えい源の特定やガスの拡散状況を把握できる。これにより、避難方向の判断や救助要員が現場へ進入可能かどうかの判断など、二次災害防止にも役立つ。
同社では、ガスカメラは既存のガス検知器を置き換えるものではなく、補完するシステムと位置付ける。ガス検知器は法令やガイドラインに基づき設置が必要であり、濃度を正確に把握できる。一方、ガスカメラは広範囲を監視し、安全性をさらに高める役割を果たす。
製品は防爆エリアで使用できる耐圧防爆仕様。理研計器が長年培ってきたガス検知器の防爆設計技術を生かし、万一、機器内部でショートなどの電気的な異常が発生しても機器内部に封じ込める安全構造となっている。今後、防爆認証を取得したうえで市場投入を目指す。
同社は「Sea Japan 2026」で試作機を初公開し、海運会社や造船所、舶用機器メーカーなどから注目を集めた。価格はカメラ、処理機(制御・判定AI・電源・通信など)を含む基本構成で市場適正価格を目標としており、1台の処理機に対し複数台のカメラを組み合わせて死角のない監視システムを提案していく考えだ。
理研計器では「目に見えないリスクを可視化することで、アンモニア燃料船の普及に向けた安全性向上に貢献したい」としており、海運会社を中心に普及を進めていく方針だ。
理研計器は理化学研究所が開発した技術の製品販売で独立し、1939年に現在本社のある東京都板橋区で創業した。従業員数は1465人(連結)、売上高は552億1000万円(2026年3月期)で、国内の産業用ガス検知警報器のシェアは70%を誇る。産業分野で起こり得るガス関連のリスクに対応した検知器をほぼ網羅。半導体や鉄鋼、海運、造船、土木現場、石油化学などの各分野で使用されている。
全国に営業拠点18カ所、サービスステーション34カ所を構え、埼玉県春日部市に開発センター・生産センターがある。海外ではアジア、ヨーロッパにグループ会社や現地販売代理店を展開している。自社でセンサー部を製造し、検知器への組み込みから製品化、メンテナンスまで一貫したサービス体制を強みとする。
カメラ部の試作機。通常のカメラと赤外線カメラの2種類の窓がある。両画像を合成してパソコンに表示
開発センター・生産センター(埼玉県春日部市)