2024年11月6日無料公開記事バリシップ2025

展示会場や港の整備へ20億円寄付
今治の船主・造船4社が市に、「未来に活かして」

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左から阿部社長、徳永市長、檜垣社長、瀬野社長

 今治市の今治造船と正栄汽船、日鮮海運、瀬野汽船の4社が5日、今治市の未来創生のためとして計20億円を寄付した。海事都市交流委員会では海事展「バリシップ」などに用いる展示会場の整備や、今治港の観光資源としての整備などを市に要望しており、今後市では寄付をもとに基金を創設し、構想作りに着手する。
 5日に今治市役所で贈呈式が行われ、今治造船と正栄汽船の檜垣幸人社長、日鮮海運の阿部克也社長、瀬野汽船の瀬野洋一郎社長がそれぞれ徳永繁樹市長に寄付目録を手渡し、徳永市長が感謝状を贈った。
 檜垣社長は「今治の未来のために活用していただきたい。特にバリシップは会場が手狭になっており、MICE機能(国際会議・研修・展示)の整備をお願いしたい。市街地の賑わいのためにも、駅から港にかけた中心地に展示会場が建設されれば嬉しく思う」とあいさつ。阿部社長は「世界一の海事都市として、展示会場の整備と、港を生きた形で整備していただきたい。われわれも力を結集していくので、私たちが誇りに思えるようなプランを市に作っていただきたい」とした。瀬野社長は「今治港を発着する船舶が減少しており、中小クルーズ船や観光・遊覧船の発着など、観光を中心とした港の整備をお願いしたい。また、港から今治城、市内、今治駅を回遊できるようなインフラ整備もしていただき、観光客や市民が日頃から港に集まり、交流できるような場所になるようお願いしたい」とした。
 市長は「多額の寄付をいただき、今治の未来を描く素地ができたことを嬉しく思う。世界をご覧になっている皆さんが、こうして地域を見ていただき、一緒にまち作りしていただけることは力強い」とした。
 また贈呈式後に檜垣社長は記者団に対し、寄付の背景として、「今治市が合併から20年で人口が減る中、今治の海事産業の経営規模は2~3倍に拡大した。ただ、これ以上人口が減少するとわれわれ産業も衰退してしまうとの危機感があり、住みたいまちになるよう、われわれも協力したいという気持ちの表れだ」と説明した。瀬野社長は「交流委員会のメンバーで門司・下関を視察したが、港として機能し、コンベンションセンターもある。今治もこれも参考に、インフラと港の整備を考えていただければ」とコメント。阿部社長は「最近では海事産業に対する地元の認知度も上がってきた。われわれが税制面でも不利な日本、ここ今治で事業を続ける理由は、プライドに他ならない。将来に向けて、前に進むためのレガシーを残したいと思っている」と語った。
 海事都市交流委員会は今年9月に、海事都市今治の未来創生のため、今治港の整備、今治市内のMICE機能の整備、海事都市今治のための基金創設について、今治市に要望した。今回の寄付は、交流委員会の委員も務める各社が要望内容に即した事業に活用する目的で行った。

今治の未来への思いを語った

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