2024年7月1日無料公開記事洋上風力発電
3隻目のSOV発注、台湾洋上風力向け
商船三井、ダーメンに、26年末竣工
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新造SOVのイメージ
商船三井と大統海運(タ・トン・マリン)は、合弁会社の大三商航運(タ・サン・シャン・マリン、TSSM社)を通じ、6月27日にオランダのダーメン・グループと新造SOV(サービス・オペレーション・ベッセル)の造船契約を締結した。商船三井が6月28日に発表した。TSSM社として3隻目のSOVとなる。新造船は2026年末の竣工を予定しており、台湾の洋上風力発電所への投入を計画している。
アジア初の新造SOV“TSS PIONEER”、昨年発注した“TSS CRUISER”(2025年末竣工予定)と命名予定のSOVに続き、3隻目の台湾籍SOVとなる。今回発注したSOVは姉妹船の“TSS CRUISER”と同じくメタノールレディな設計で、ベトナムで建造される。2020年代後半に建設・運転開始が予定されている台湾の洋上風力発電所への投入を計画する。“TSS PIONEER”の操業を通じて培った経験を活かして洋上風力発電所へ人員や物資の安全な移送を行うとともに、洋上での作業員の快適な宿泊設備を提供することで台湾の洋上風力事業の発展に寄与するとしている。
同船の全長は87.7m、全幅19.7m、計画喫水5.3m。最大乗船人員は約120人。DPS(自動船位保持装置)、波等による船体動揺を吸収するモーション・コンペイセイション機能をもつ特殊なギャングウェイ・クレーンを装備する。
商船三井の杉山正幸風力・オフショア事業群風力事業ユニット担当執行役員は「TSSM社として3隻目となるSOVの発注ができ、嬉しく思う。本SOVはTSSM社の台湾でのSOVプレイヤーとしての存在を圧倒的なものにすることに加え、さらには商船三井の日本を含むアジア地域でのSOV事業展開の布石となることを確信している」とコメントした。
TSSM社の林宏年董事長は「洋上風力発電建設に必要不可欠なSOVフリートの拡大を通じ、建設に役立つとともに、再生可能エネルギーの導入拡大を支援し、ネットゼロ社会・持続可能な地球環境の達成に寄与して参りたいと考えている」と述べた。また、ダーメン社のアルナウト・ダーメンCEOは「昨年“TSS CRUISER”を当社に発注頂いた後からTSSM社とは関係を深めてきた。この度同じCSOV9020デザインの姉妹船の発注を頂いたこと大変感謝している。両SOVの存在はTSSM社のプレゼンスを台湾のみならずアジアでも大きく高めることに加え、当社とTSSM社のさらなる関係発展に寄与するものと期待している」と語った。
TSSM社は商船三井と大統海運が設立した合弁の船舶保有会社。1隻目の“TSS PIONEER”はオーステッドに定期貸船され、同社が開発する900MWの大彰化洋上風力発電所のメンテナンス支援に用いられている。
SOVは主に洋上風力発電のO&Mで用いられるメンテナンス支援船で、作業員が一定期間、沖合に滞在し保守作業に従事するための母船の役割を担う。作業員輸送という点ではCTV(クルー・トランスファー・ベッセル)と同じ役割を担うが、一般には離岸距離やプロジェクト規模によって採用が分かれる。SOVはより沖合の大型洋上風力発電所での活躍が見込まれており、洋上風力発電プロジェクトの大規模化や浮体式洋上風力発電所への展開を見据え需要増加が期待される。