2024年5月31日無料公開記事内航NEXT 内航キーマンインタビュー

<内航NEXT>
《連載》内航キーマンインタビュー㊾
RORO船運航の最適解探る
フジトランス コーポレーション・松下取締役

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松下取締役

 フジトランス コーポレーションは船員の働き方改革への対応に注力している。完成車輸送を主力とするRORO船事業では、2023年に寄港地を見直し、1日あたりの入出港数を減らして船員の負担軽減を実現。今年からリクルートサイトを立ち上げるなど採用にも力を入れている。今後は持続可能な運航を実現するため、寄港地や船舶の大きさなどの最適解を探っていく。RORO船事業を担当する松下雅俊取締役にモーダルシフト需要の動向や今後の見通しなどについて聞いた。

 — RORO船事業の概要について。
 「自動車輸送にウエートを置いて名古屋港を起点とし北海道から沖縄まで展開しているのが特色だ。RORO船7隻を運航し、そのうち4隻を自社で所有している。名古屋/仙台/苫小牧航路には4隻、名古屋/豊橋/鹿児島/沖縄航路には1隻を投入している。中四国や九州の各港を巡る航路は共同配船で運航しており、当社グループは2隻を充てている。完成車がメインカーゴで、国内で高いシェアの海上輸送をしている。北海道航路や新門司、沖縄発着便では自社グループのセミトレーラを使って一般貨物の輸送を手掛けている。北海道航路を運航する船の積載台数は乗用車約900台とトレーラ約150台、その他の航路は乗用車約1400台、トレーラ約50台で航路によって積載車種の比率を変えている。最近の荷動きについては、コロナ禍や半導体不足の影響で貨物量が一時減少していたところから回復しつつあったが、昨年は自動車メーカーの工場稼働停止などがあり下振れした」
 — 物流の2024年問題を契機としたモーダルシフト需要はどうか。
 「一般貨物においてはモーダルシフトの需要により、さまざまな貨物輸送が増えつつある。また、完成車輸送を担うキャリアカーのドライバー不足からモーダルシフトの相談をいただいている。需要は増えているが、現場の働き手不足により要望に100%は応えられていないのが現状で、現在の業務量を維持するのが喫緊の課題だ」
 — 船員の働き方改革への対応については。
 「労働時間を短縮するため昨年配船を見直して寄港地を減らした。例えば、以前は1日に3つの港に立ち寄ることもあったが、これを廃止した。入出港は最も船員に負荷のかかる業務で、これを減らせば負担軽減につながる。サービス内容は低下してしまうが、荷主にもご理解いただき実行できた。働き方改革をさらに推進するには船員の確保が欠かせない。グループ内のマンニング会社や運航船の船主と話すと、どこも採用に苦労している。そこで、採用活動を強化しようと4月1日からグループ全体のリクルートサイトを立ち上げた。ラジオ広告もスタートして当社グループを知ってもらう取り組みを進めている」
 — RORO船事業の見通しは。
 「ビジネスモデルの変革が今後の課題だ。船員不足などを背景に、現在の運航スタイルを続けるのは難しいと考えている。最適解を探しているところだ。例えば、寄港地については船員の労務負担軽減で減らしており、さらに集約できれば船員不足問題のソリューションにもなり得るが、そうすると陸上の負担が増えてしまう。また、港湾施設の増強も必要になるが、現在の寄港地の後背地に余裕のある港はほとんどない。船舶については、これまで大型化を続けて隻数を減らしてきた。しかし、大きな船で寄港地を回ると日数がかかる。もう少し小さな船を多く持てば小回りが利いてサービスは向上するが、船員数が必要になる。こうしたバランスの見極めは大変難しいが、正解を見誤らないようにし、海上輸送の担い手としての責任を果たしていきたい」
(聞き手:伊代野輝)

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