2023年10月18日無料公開記事洋上風力発電
日本の洋上風力、船舶など供給網課題
都内で風力国際会議、商船三井・杉山氏登壇
-
サプライチェーンのパネル討議に登壇した商船三井の杉山氏(右から2人目)
第5回日本国際風力発電大会(ジャパン・ウインド・エナジー2023、主催=リーダー・アソシエーツ)が17日・18日に東京都内で開催されている。複数のパネル討議が開催され、日本の洋上風力発電に関する課題として、船舶を含むサプライチェーン(供給網)の構築、漁業関係者との関係、発電事業立ち上げまでのスピードなどが挙がった。日本の洋上風力市場を支援する国際的なサプライチェーンの協力をテーマとしたパネル討議に海運会社から商船三井の杉山正幸執行役員が登壇した。
初日の17日、米国エネルギー省やデンマーク大使館、ドイツ大使館が日本の風力エネルギーに関する国際協力についてメッセージを送った。
続いて行われたパネル討議の中で、洋上風力発電のサプライチェーンについて、「洋上風力の大きな課題は日本での運用経験が少ないこと。サプライチェーンは物流をゼロから作り上げなければならず、船舶の供給は重要になる」(商船三井)、「最大の課題はサプライチェーン。英国・欧州でサプライチェーンはタイトで、船舶の容量に余裕がない。日本も同じサプライチェーンに依存している」(CWHI)などの指摘があった。
また、INPEXは「北海は漁業産業が石油・ガスにも関わり、周辺産業も発展してきたのだと思う。日本の業界にとっての大きな課題はどのようにして産業やサプライチェーンを構築していくかだ」との課題認識を示した。同社は長崎県の五島沖で浮体式洋上風力プロジェクトに参画しており、「そのプロジェクトでは2MW(メガワット)機を8基設置するが、大型の浮体式プロジェクトになるとより規模が大きくなる。課題はいかにしてサプライチェーンを拡大するかであり、大量生産も必要になる」と述べ、風車設備などのサプライチェーンの課題について指摘した。
洋上風力に関わる人材の確保も課題として挙がり、商船三井は北九州で洋上風力発電設備の保守作業員向け訓練を提供する計画を紹介した。
浮体式洋上風力については、欧州の再生可能エネルギー事業者のEDFリニューアブルズが「浮体式はこれまでになかった技術。リスクの把握、関係者の理解を求める必要がある」と述べた。
日本市場について、欧州の再エネ事業者であるRWEリニューアブルズは「過去20年の欧州のトライ&エラー、専門知識の構築を基に協力していきたい」と述べた。