2026年7月14日無料公開記事
データセンター向け需要拡大
舶用エンジン各社、対応を強化
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人工知能(AI)の普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を背景に、世界的にデータセンター向け発電設備の需要が拡大している。造船市場の好調を背景に舶用エンジン需要も高水準で推移する中、舶用エンジンメーカー各社では、データセンター向けという新たな需要分野への対応が本格化している。受注の拡大に加え、生産能力の増強や供給体制の整備などの動きが相次いでいる。
AIやクラウドサービスの普及に伴い、データセンターでは膨大なデータを24時間365日処理するため、電力需要が急増している。データセンターは停止が許されない重要インフラであり、安定した電力供給の確保が不可欠だ。一方、世界的なデータセンター建設の拡大を背景に、送電網への接続に時間を要するケースや電力確保が課題となるケースも指摘されている。このため、非常用発電設備への需要が拡大しているほか、自家発電設備やオンサイト発電設備の導入が進んでいる。
こうした需要拡大を受け、舶用エンジンメーカーではデータセンター向け案件の受注が進んでいる。HD現代重工業エンジン機械部門は、米国のデータセンター向け発電設備にLNG焚きHiMSEN(ヒムセン)エンジン33基を供給すると発表した。エヴァレンス(旧MANエナジーソリューションズ)も、ベインキャピタルを迎える新たな資本体制の下で、海運やエネルギーと並び、データセンター市場での成長を目指す方針を示している。
需要拡大を受けた生産能力の増強や供給体制の強化も進む。バルチラは今年、米国のデータセンター向け発電設備案件を相次いで発表したほか、生産能力の増強も進めている。今年2月、フィンランド・ヴァーサの製造拠点に約1億4000万ユーロ(260億円)を投じて生産能力を25年比で約35%拡張する計画を発表したが、わずか3カ月後の5月には約9000万ユーロ(170億円)を追加投資し、生産能力をさらに30%拡張すると発表。海事分野に加え、電力需要やデータセンター需要の急拡大を背景に、短期間で増強計画を積み増した。
国内でも関連事業を強化する動きが進む。ヤンマーホールディングスのグループ会社は、舶用エンジンで培った技術を基に開発した高速エンジン「GY175シリーズ」を搭載する大容量非常用発電機を展開している。ヤンマーパワーソリューションは尼崎工場にGY175シリーズの専用ラインを整備したほか、ヤンマーエネルギーシステムは今年4月、データセンター向け非常用発電システムの旺盛な需要に対応するため、福岡県北九州市に新工場を建設すると発表した。
需要拡大は部品メーカーにも波及している。軸受を手掛ける大同メタル工業は中期経営計画の進捗説明会で、2025年度は船舶・データセンター向け軸受需要などで、当初想定を上回る需要創出が図れたと総括した。また、船舶やデータセンター向け中高速エンジン用軸受需要への対応などを目的に、2026~27年度に200億円の成長投資を追加予定だと説明した。
造船市場の活況に加え、データセンター需要も重なることで、中高速エンジンの供給能力確保が各社の共通課題となりそうだ。