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2025年9月16日無料公開記事洋上風力発電

浮体式風力設置用のAHTSV開発
JMU、曳引能力を高めつつ汎用性確保

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 ジャパンマリンユナイテッド(JMU)はこのほど、浮体式洋上風力発電用の新型アンカーハンドラー(AHTSV)を開発した。従来の海洋資源開発向けAHTSVよりも曳引能力を高めて浮体構造物の曳航など洋上風力用工事の効率を高めたほか、海洋資源開発にも対応できる汎用性を持たせた。
 浮体式洋上風力発電の建設では、浮体基礎の曳航や係留システムの設置工事が必要となる。欧州でも近年の浮体式実証プロジェクトでは、海洋資源開発向けに建造されたAHTSVなどが建設工事に活用されている。JMUはこれまで30隻以上のAHTSVなど多数のオフショア支援船を建造しており、この実績を生かして浮体式洋上風力発電に適したAHTSV船型を開発した。
 新型AHTSVでは、ボラードプル(曳引力)は洋上風車の大型化傾向を踏まえ、従来の石油ガス開発向けAHTSVよりも大型化した。JMUの過去建造船と同等の貨物区画容積を実現しつつ、ボラードプル性能を約10%向上させ、環境性能の向上も図った。
 また、マーケットに応じて洋上風力向けだけでなく海洋資源開発向けにも対応できるよう、汎用性を高めた。浮体などの曳航に必要な特殊甲板機械を装備するとともに、浮体の係留設備を構成するアンカーや錨鎖、係留索等を後部作業甲板と甲板下区画へ収納して輸送できるようにした。15MW級浮体式洋上風力発電1基分の係留設備の収容が可能。一方で甲板下区画は、清水や燃料、泥水などの各種貨物も積載可能な区画割りを実現。これにより海洋資源開発向けとしての運用も可能とした。
 このほか、洋上での設置作業に対応し、DPSクラス2仕様の自動船位保持性能を備えた。人員輸送については国際コード(IPコード)に適合し、洋上風力発電の整備・維持のための十分な作業人員の輸送ができる。その他、海難事故や災害等で人命救助や船舶・海洋構造物の曳航に活用できる形とした。
【主要目】載貨重量約4000トン、全長約82m、型幅20m、型深8.8m、喫水7.3m、後部作業甲板面積650平方メートル。

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