2025年9月10日無料公開記事内航NEXT
販売半年で受注100隻を突破
東北電技ソリューションズ、船舶通信管理ソフトが
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ShipLINKの通信量グラフ画面
カシワグループの東北電技ソリューションズ(本社=宮城県塩釜市)が提供する船舶通信管理ソフト「ShipLINK」の累計受注が、販売開始から約半年で100隻を突破した。旭タンカーをはじめとする船会社で導入が広がっており、多彩な機能と低価格で導入できる点が評価されている。顧客ニーズを踏まえた新機能の追加も進める。主に内航船をターゲットに展開を図っており、2027年までに300隻への導入を目指す。
ShipLINKは、低軌道衛星通信サービス「スターリンク(Starlink)」などの高速インターネット回線を活用しながら、船内の通信を安全かつ効率的に管理するためのソリューションだ。船内のパソコンやスマートフォン、タブレットといった端末の通信量の制限設定や、使用状況の確認が可能。通信回線は最大8回線まで対応。電波状況に応じて複数の通信回線を自動的に切り替える自動回線切替機能も備えるほか、マイページから自身の使用する端末の通信回線を選択することも可能だ。端末は、最大200台まで登録できる。
ShipLINKはクラウド管理で陸上から複数船の全ての管理ができるほか、船員自身で下船や転船などの操作も可能なことから、管理者を介さない運用も実現できる。
通信ログを6カ月保存できるため、セキュリティ関連事案などが起きた際には、過去ログの確認や調査が可能だ。さらに、不正アクセス検知機能などのセキュリティ対策も備える。価格は基本セットで月額2万円から。
顧客のフィードバックや要望を踏まえ、新機能の追加も進めている。近く導入予定の「時間通信制限機能」は、管理者が端末ごとに通信を利用できない時間帯を設定できるもので、ワッチ中の事故防止などの目的で顧客から要望があったことから開発した。
将来的には、ネットワーク上で重要な通信を優先し、安定した通信品質を確保する「クオリティオブサービス(QoS)」機能も追加予定で、ウェブ会議など重要な業務通信を優先的に処理することが可能となる。
岸宏明技術部長は、「自社開発のため、顧客の要望を迅速に反映できることが強み」と述べる。今後も顧客ニーズを踏まえた機能を随時追加する方針で、追加機能はリモートで自動的にアップデートされる。
採用拡大に向け、他社とも連携する。NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)と、アカサカテック(横浜市)は、スターリンクとの抱き合わせ販売で、ShipLINKの提供を開始している。既にスターリンクを導入している船舶でも導入が可能となっている。
主に内航船社を対象に営業展開を図っており、岸部長は「機能面などで評価は好評」と手応えを語る。NTTドコモビジネスやアカサカテックとの連携も生かし、さらなる拡販を通じて船舶のDXの後押しを図る。
マイページ画面。自身の端末の通信量の使用状況を確認できる