2025年5月20日無料公開記事今治発新技術
《今治発:新技術》
岸壁との距離測定にLiDAR応用
ハブネスら開発、内航の着桟・係船作業支援
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“みやび丸”に搭載されたLiDARシステム
ハブネス(今治市、曽我部公太代表)は、内航船主エヴァラインと海上技術安全研究所と連携し、自動車などで用いられる距離計測センサー「LiDAR(ライダー)」の技術を活用して本船と岸壁の距離を計測する舶用バース距離計を開発した。操船者の負担が大きい着桟・係船作業を支援し、岸壁との接触事故を防止するとともに、若年操船者にも扱いやすい船舶の実現を目指した。
国土交通省のNX補助金を受けて開発した。内航船の着桟作業は操船者の技量・経験が必要で、特に若年船員の精神的負担が大きい。また、係船作業は船員の労務負荷が高い作業の1つ。これら作業を支援するための距離計の開発に取り組んだ。
着目したのが、自動車の自動運転技術などに用いられている高精度の距離計測センサーLiDARだ。LiDARは船舶での使用が想定されていないため、塩害などの環境や船舶特有の振動・動揺に耐えられるようセンサー部分をパッケージ化した。また、LiDARは内部に高速で駆動する機構を持つため、船舶での長期間の使用にも耐えられるよう、電源制御などによって耐久性と信頼性を高めた。
開発したシステムを昨年11月にエヴァラインの499総トン型貨物船“みやび丸”に搭載。長期運用でも問題なく動作することを確認した。同システムは、明隆海運の550総トン型タンカー“星明丸”にも搭載されている。
また、LiDARの計測データは膨大な点群データとなるため、これを短時間に処理し操船者にわかりやすく情報提供するための表示機能の開発も進めている。
開発した距離計は、今治市で22日から開催される国際海事展「バリシップ」の「内航のミライエリア」で展示する予定。