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2025年2月28日無料公開記事中国造船シェア6割時代

《連載》中国造船シェア6割時代②
量を追えない韓日、面積増やす中国

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別表は2022年と24年の中国の主要造船所と日韓造船大手の新造船建造量の比較だ。22年は世界全体の竣工量が5000万総トンにまで落ち込み、リーマン・ショック後では最低水準だった。そこから2年間でどう変わったか。

中国の主要造船所は、ほとんどが40~50%の建造規模拡大を果たした。これに対し、韓国最大手のHD現代グループ、日本大手の今治造船とジャパンマリンユナイテッド(JMU)は、ほぼ横ばいか若干のマイナスだった。人手不足と、労働規制による時短化、新燃料船の工期長期化で、日韓が建造量を増やせない中で、中国は国営造船も民営造船もそろって規模を拡大した。昨年、中国が建造量シェア5割を達成したのは、この差が表れたものだ。
中国造船所はさらに建造量が増える。この数年で新規参入した造船所や新工場での建造が本格化するのは、これからだ。

「まず先に受注をして、それから工場を作る。これが今の中国造船の勢いだ」。現地を知る関係者はそう話す。最近の、中国の工場再稼働や新規建設計画の様子は、2009年のリーマン・ショックの前の造船ブームを思い出させる。当時は、工場建設の青写真だけで受注を獲得する、通称「グリーンフィールドヤード」が勃興した。

今の造船業の状況は2000年代の造船ブームに瓜二つだ、との指摘は多い。日本造船所は当時、需要が急拡大する中でも、将来の不況到来を見据え、やみくもな能力拡張の投資は行わなかった。代わりに、先へ先へと受注を進め、結果として線表を4~5年先へと伸ばした。これに対して当時の中国と韓国の造船所は能力拡張にひた走った。この差は、「線を伸ばす日本、面積を増やす中国・韓国」とも言われた。その後の不況で、中国と韓国の新興造船所では経営破綻が相次いだ。

いまは、どうか。日本は人手不足により簡単に建造隻数を増やせない事情があり、やはり今回も増産投資より受注残を伸ばすことが先行し、納期は2028~29年へと伸びている。これに対して中国は、再び建造能力を急激に拡張しつつある。新工場の建設や、異業種からの参入などが相次いでいる様子は、まさに2000年代の相似形だ。

当時と違うのが、韓国。前回の造船ブーム期にはSTX造船や成東造船、C&造船など、新規資本による新興造船所が次々とあらわれ、大規模な設備投資を行った。今回もハンファグループが大宇造船海洋を取得するなど新規参入組はあるが、当時のような新工場建設の計画はほとんど出ていない。

日本と韓国の状況は、ここから先も大きな変化がなさそうだ。「顧客の需要に応えるために最低限の増産はしたいが、規模で中国と勝負する状況ではない。いかに収益性を高めるかだ」。日本造船の経営者はそう語る。建造規模で中国に対峙する韓国造船大手は、一般商船以外に目を向ける。HD現代とハンファは、世界的な安全保障環境の変化を受けて、艦艇事業を成長事業に位置付け、リソースを集中させようとしている。LNG船やメガコンテナ船といった戦略船種では中国との競争は避けないが、生産規模を現状から大幅に増やす計画は打ち出しておらず、むしろ、洋上風力発電の浮体式構造物や海洋プラントなど、中国造船所との直接対決を避ける製品への傾斜を強める。日本も韓国も、人手がネックとなり規模を追求できない中、建造量よりも付加価値と収益性を優先させざるを得ない。「中国も、韓国がもはや追ってこないことを理解したうえで設備拡張を進めているのではないか」(造船関係者)。一般商船市場における中国優位は当面続きそうだ。

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