2023年3月14日無料公開記事洋上風力発電
●資源エネルギー庁
洋上風力人材育成を支援
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資源エネルギー庁は2022年度から洋上風力発電人材育成事業を開始した。24年度までの3年間の事業になり、洋上風力人材の育成に資するカリキュラムなどを開発する取り組みに対し関連費用を補助するほか、カリキュラムの実施に必要な訓練施設などの整備費用を支援する。補助率はいずれも3分の2。22年度は6.5億円の予算を確保し、23年度予算案でも同額を盛り込んだ。
事業開発関連の人材からエンジニア、作業員など事業の各フェーズで必要となる洋上風力人材の育成事業の立ち上げを支援し、雇用の創出につなげていく狙いだ。日本の洋上風力産業は黎明期を迎えたばかりで、市場の本格形成には数年を要することが見込まれる。洋上風力人材は産業の発展とともに需要増加が見込まれる一方で、現状では教育機関が不足していることに加え、人材育成には時間がかかる。黎明期の今、育成事業の立ち上がりを政府が支援し、日本の洋上風力の本格稼働に備える。
22年度の採択先は表のとおり。プロジェクトマネージャーなどの事業開発、エンジニア、専門作業員の3つに分類し、それぞれで事業を採択した。相当数が必要となることが見込まれる専門作業員については5件が選ばれた。地域雇用への貢献も考慮されており、いずれの事業も地域に根差した取り組みを展開しているのが特徴だ。トレーニング施設の整備では、北拓は北九州、日本郵船は秋田、ジラフワークは川崎、ウィンド・パワー・グループは神栖(茨城県)に整備する。長崎大学の取り組みでは、地元に洋上風力発電所が展開する計画がある5つの地方大学と、実証や商用などで洋上風力の知見を持つ5つの発電事業者がコンソーシアムを組み、産学連携で大学生・大学院生を対象とした教育カリキュラムを策定する。
この事業は予算が成立次第、23年度も公募を実施する予定だ。資源エネルギー庁の担当者は、「雇用を安定的に創出するためには市場見通しをある程度確保する必要があり、国内の案件形成、ひいては働く現場をどれだけ提供できるかが重要だと考えている」としたうえで、「われわれとしては案件形成目標を着実に実現し、その市場を見込んだ事業者による人材の募集、そしてその需要を受けた大学などによる人材育成へとサイクルがしっかり回るように取り組んでいきたい」と語る。