2025年はコンテナ船社のアライアンスが再編され、新たな時代の幕開けとなった。単独運航を基本とするMSC、マースクとハパックロイドの欧州2社によるジェミニ・コーポレーション、オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)とHMM、ヤンミン・マリン・トランスポートのアジア3社によるプレミアアライアンス、CMA-CGMとコスコ、エバーグリーンマリン、OOCLによるオーシャン・アライアンスの4大グループに分かれ、それぞれ特色あるサービスを提供する。日本発着においてもアライアンスの再編を契機に、荷主はさまざまな選択肢を提示されている。自社のサプライチェーンの最適化に向けてベストな選択肢を検討することが可能となる。
■MSC、豊富な船腹量と機動力生かす
MSCは世界最大となる豊富な船腹量を生かして、自社単独運航を基本にサービス展開する。単独をベースとするため、提携船社との調整が少なくなり、本船の入れ替えや寄港地の調整などを迅速に行えるようになった。市況変動への柔軟な対応や、成長市場への迅速なスペース供給を進めていく。
日本発着サービスについては今年、日本フィーダー航路の「ORIGAMI」を改編した。これまでは遅延が発生していたが、フィリピンなど混雑する港湾を抜港し、スケジュールに余裕を持たせた。この結果、改編を実施した2月以降はスケジュールが安定しているようだ。豊富な船腹量を持つことから、遅延時にスケジュール回復に向けた臨時船の投入などを行いやすい強みもある。
また今年の新体制では、アジアを基点に北米と欧州を振り子で結ぶ「SWAN-SENTOSA」で横浜港への直接寄港も開始した。近年はトランシップの精度も高まっているが、日本の荷主は直航を求める傾向が依然として強い。温度管理が必要なリーファー貨物を含め、直航需要に対しては同サービスの活用を提案していく。
■ジェミニ、上海接続に自信
ジェミニは今年2月から新サービス体制への移行を開始した。両社が約340隻、運航規模で約370万TEUのコンテナ船を投入し、29のメインライナーサービスと28のシャトルサービスを展開する。1サービス当たりの港湾数を減らし、機能強化した自営ターミナルを中心としたハブ&スポーク体制のコンテナ船サービスを通じて、スケジュール順守率90%以上の達成を目標に掲げている。
ハパックロイド本社は先週、オンラインでバーチャルパネルディスカッションを開催し、ジェミニの現状を報告。先週時点で投入予定船の半分となる約170隻がジェミニのネットワークに就航し、既に700回以上の寄港があったがスケジュール順守率は目標の90%以上を達成しているようだ。6月までに完全にジェミニのサービスに移行していく。今後は高いスケジュール順守率の維持を目指すとともに、悪天候や濃霧といった輸送障害の発生をあらかじめ予測し、迅速な対応策を打ち出していく。
スケジュール順守率が高まり、予定通りに貨物が到着すれば、荷主にとって余分な在庫を持つ必要が無くなるほか、高コストとなる航空輸送を減らせるメリットがある。定時性が高まれば、遅延や欠航・抜港が常態化している現状と比べて航海数が増えることになる。結果として提供スペースも増えることも期待される。
日本発着サービスは、アジア―PNW航路の「TP1/WC3」の往航と「TP5/WC4」の復航、アジア―PSW航路の「TP7/WC5」の復航で横浜港に寄港する。このほか、アジアシャトルの「A6」でも日本に寄港し、上海港でメインライナーサービスに接続し、世界各国への輸送需要に応える。上海港では洋山3期の上海冠東国際コンテナターミナル(SGICT)がジェミニのハブとなり、同CTで接続する。上海洋山港は、世界銀行とS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが毎年実施している世界のコンテナ港湾の効率性を指標化した「コンテナポートパフォーマンスインデックス(CPPI)」において、22年と23年の2年連続で世界1位となっている。上海国際港務集団(SIPG)によると、SGICTは岸壁長1メートル当たりのコンテナ処理量に関しても4年連続で国内首位となっているようだ。ジェミニ関係者は、「上海港の混雑や遅延を懸念する声もあるが、信頼できるトランシップサービスを提供できると考えている」と強調する。
(この連載は、中村晃輔が担当します)