2025年10月16日無料公開記事船舶用船料先物取引(FFA)を知る使う

《連載》船舶用船料先物取引(FFA)を知る・使う⑤
FFA取引の仕組み
エクセノヤマミズ 大本博司 氏

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先物取引というと、取引経験のない方にとっては「何となく手を出すと危険な取引」という印象を持たれているかもしれない。しかし、実際には非常に優れた仕組みであり、厳格なルールのもとで運営されている。ここでは、FFAの取引システムについて簡単に説明する。

ボルチック取引所は、現物用船料のスポット価格と、FFAにおける先物価格の2種類のインデックスを毎日公表している。ボルチック取引所はあくまでインデックスの公表機関であり、実際の取引がこの取引所内で行われているわけではない。

FFAを取引する際には、FFAブローカーおよびクリアリングブローカーの双方に口座を開設する必要がある。口座開設後、取引当初証拠金として一定額の資金(主に米ドル)をクリアリングブローカーに預託する。現時点では、期近の11月/12月限で、ケープサイズ約5500ドル/日、パナマックス約2200ドル/日の証拠金が必要とされている。価格変動の大きい商品ほど高額な証拠金が設定される仕組みである。

取引は通常、FFAブローカーを通じて行われ、成立した取引は速やかにクリアリングブローカーを経由して、清算機関(クリアリングハウス)に移される。清算機関は主に大手金融機関のメンバーによって構成されており、高い信用力を有している。FFAの清算機関としては、主にSGX(Singapore Exchange)およびEEX(European Energy Exchange)が利用されている。これらの清算機関の存在により、取引相手の与信リスクを意識することなく取引を行うことが可能となっている。

取引後のポジションは、ボルチック取引所が公表する価格をもとに、清算機関内で日々時価評価が行われ、その結果がクリアリングブローカーを通じて顧客に通知される。

時価評価の結果、クリアリングブローカー内の自社口座がマイナス(すなわち、預託資金が必要な証拠金を下回る)となった場合は、通知を受けた翌営業日中に不足額を送金し、証拠金水準を回復させなければならない。もし送金が行われない場合、クリアリングブローカーの判断によりポジションが強制的に手仕舞いされることもある。このようにして、FFAの口座は常に健全な状態に保たれている。

FFAを取引するうえでは、ヘッジやリスクの正しい理解も重要であるが、それ以上に、これら一連の取引に関わる作業を適切に管理・遂行する担当者の存在が不可欠である。FFAブローカーやクリアリングブローカーからの取引報告書の内容確認、自社口座の証拠金状況の把握、送金タイミングと資金計画の管理など、対応すべき業務は多岐にわたる。

近年は金利上昇に伴い、米ドルの調達コストが急速に上昇している。FFAは価格変動が大きく、必要証拠金も高額であるため、社内の人員体制やコスト面を踏まえ、「本当にFFAをヘッジ手段として活用すべきか」という議論が生じる可能性もある。最終的には、自社がどれだけのリスクを保有しているかに基づく判断が必要であり、リスクとリターンの関係を明確に社内で共有することが重要である。

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