2025年9月22日無料公開記事洋上風力発電

洋上風力産業ビジョンを議論
風力発電展、FLOWRA・FLOWCON・政投銀が登壇

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 幕張メッセで開催された「WIND EXPO【秋】~第16回 [国際] 風力発電展~」では19日、「浮体式洋上風力などに関する産業戦略の解題と展望」をテーマにパネルディスカッションが行われた。浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)の猪狩元嗣国際連携部長がモデレーターを務め、FLOWRAの寺﨑正勝理事長と浮体式洋上風力建設システム技術研究組合(FLOWCON)の野口哲史理事長、日本政策投資銀行の原田文代常務執行役員が登壇した。8月に公表された洋上風力産業ビジョン(第2次)について、その評価や今後の課題について議論した。
 寺﨑理事長は事業環境整備について、「再エネ電力の価値は電気そのものの価値と、環境価値の2つがある。環境価値が低く評価されているのではないかと懸念している。環境価値を経済産業省では再エネ賦課金としているが、『費用』ではなく、次世代に地球環境を繋げていくための『投資』に置き換えられるような評価をしていただきたい」と語った。また、「洋上風力においてはもう少しFIT(固定価格買取制度)下で投資とサプライチェーンの整備を進めていれば本当はもっと良かったのではないだろうか」と指摘した。
 野口理事長は海上施工シナリオについて、「浮体の製作や据付、係留など各段階で複数の施工方法があり、掛け算すると何十通りのやり方がある。すべてのやり方に対応するよう要求するのは、投資家やメーカーから、魅力がない市場に映るのではと考える。日本の標準施工シナリオをせめて2~3つ程度に絞って示さなければ、部品や風車メーカー、地域事業者も投資しづらいのではないだろうか」と語った。
 また、国産風車の実現に向けた課題について、野口理事長は「欧米の風車メーカーが日本に工場を建てるというのはあり得ると思うが、これまでの取り組みを日本に開示して共同研究しようとはそう簡単にはならないのではと個人的に思う。日本の標準施工を示したうえで、(メーカーに対し)日本に適した作り方に則ってほしいと伝えることがまず第一だと考える。市場をオープンにしていくことが大切だと理解している」と語った。寺﨑理事長は「大きな課題の1つが日本にそれだけのマーケットができるかだ。また、風車メーカーが苦労しているのが稼働率保証だ。この保証のためには相当な技術開発とデータの蓄積が必要で、国産化を日本で実現するためにはサプライチェーンも含めて品質管理と稼働率保証がうまく機能するのかが気になるところだ」と指摘した。

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