2025年7月28日無料公開記事洋上風力発電
メタバース上にミュージアム開設
カナデビア、洋上風力などを実物大で展示
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洋上風力発電の見学のようす
カナデビアは25日、インターネット上の仮想空間「メタバース」に「Kanadevia Virtual Museum」を開設したと発表した。通常では見学が難しい洋上風力発電やプラントの内部をメタバース上で実物大で見ることができるもの。同社はメタバース利用について、来年度には業務への活用として、一般社員が参加できるメタバース事業所へと展開を広げていきたい考えだ。
ミュージアムは「カナデビア製品・事業を実寸大で見学可能に」をコンセプトとする。展示にはクラスターが運営する国内最大級のメタバースプラットフォーム「cluster」を利用する。見学ではVRゴーグルを装着し、メタバース内でカナデビアの路面電車に乗車し、ツアー形式で各製品の駅を巡る。現在、「ごみ焼却発電プラント」「メタネーション装置」「水素発生装置」「洋上風力発電設備」などを展示している。展示は順次、追加していく計画だ。
同社ICT推進本部先端情報技術センターの岸本真一センター長は「先端情報技術センターの中期経営計画最終年の目玉として、2025年度はセンターを見せるだけでなく、没入感あふれる現場を体感してもらい、見学者が満足して帰っていただけるような、メタバースを活用したバーチャル展示室を構築した」と語った。また、クラスターの加藤直人CEOは「(ミュージアムでは)普段目にすることができない巨大な社会インフラを体全体を使って等身大の体験として触れることができる。インフラ技術の理解を促すだけでなく、共感を呼び、企業の思想を伝えるという全く新しい企業のコミュニケーションのあり方の象徴的な事例になった」と述べた。
当面は主にカナデビア先端情報技術センター「A.I/TEC」に来社した顧客への製品・事業説明などに活用する予定だが、将来的には同社HP上に公開し、一般の利用も検討している。また、10月に幕張で開催予定のCEATEC 2025での一般公開を予定している。一般公開を通じて同社事業の認知度と、サステナビリティへの理解向上を図る。
カナデビアは業務へのバーチャル空間の活用を視野に入れており、今回のミュージアム開設は、社内へのメタバース普及に向け、バーチャル空間の接点を増やすことも狙いの一つだ。実際にVRゴーグルを装着したことがなかった職員が今回の体験を通じ、メタバースの将来性を感じ、今後のエンジニアリング業務への適用に前向きになってきているという。同社は将来的にはメタバース事業所で、営業、調達、設計、工事、運営部門などが仕事をする環境を構築したい考え。業務への適用について先端情報技術センターITイノベーショングループの川端馨グループ長は「メタバースでは色んなことができるためさまざまなアイデアがあるが、仕事で使うにあたり全てを揃えてから取り組むのではいつになっても始まらない。メタバース事業所は参加する職員が各自で使い方を考え、自分たちで仕事場を作っていくという思考で始めてもらいたいと考えており、来年度から活用を開始したい」と語った。