2024年7月19日無料公開記事内航NEXT

量産型次世代内航船、499型で開発
SIM-SHIP社、有資格船員6割で運航可能に

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 内航ミライ研究会から誕生し次世代内航船の開発・販売を手掛ける株式会社SIM-SHIPは17日、関係者を招いて都内で旗揚げ披露会を開催し、新会社の目標と事業計画を説明した。省エネ・CO2排出削減と船員の負荷低減を実現する次世代型内航船「SIM-SHIP」の「コンサル型」と「量産型」を開発・建造する計画を示し、前者は499総トン型貨物船として今年12月に就航して来年の今治海事展「バリシップ」で展示する予定。後者は499総トン型貨物船から開発に着手して数年後の建造を目指し、同一図面・仕様の造りやすく操船・転船しやすい船舶にするとともに、人手不足問題に対応するため海技資格を持つ船員が現行の6割で運航可能な船舶を目指す。
 SIM-SHIP社の浦山秀大代表取締役があいさつし、「当社は今年4月に内航ミライ研究会の有志のメンバーによって設立した。同会ではこれまでさまざまな取り組みを進めてきたが、これらの開発や実証実験で培った知財を広めたり商品化する機会がなかったため、それらをどうにか広めたいという思いから新会社を立ち上げるに至った」と説明したうえで、「当社の今後の目標は、内航ミライ研究会で開発した『SIM-SHIP』や『MIRAIシリーズ』といった商品を普及させ、内航海運業界が抱える課題に真摯に向き合い、われわれの商品を業界のスタンダードとして普及させること。そのために業界に求められる省エネ化、脱炭素化、省人化に対して取り組んでいく。設立したばかりの企業ではあるが、持続可能な社会と内航海運業界の実現に寄与する船舶と商品の普及を目指し、新しいことへのチャレンジ精神を忘れずたゆまぬ精進を積み重ねていく」と語った。
 SIM-SHIP社の曽我部公太専務取締役が同社の体制と事業計画を説明し、「内航ミライ研究会の開発・成果物を展開し、現場の声を積極的に取り入れて船舶を造っていく。業界が求める省エネ・省CO2を実現する船舶、安全性を確保しながら省人化を達成する船舶、乗りたくなる魅力と価値のある船舶を市場に提供したいと考えている」と語った。
 新会社の具体的な事業として、船主が求める技術・機器を提供して船舶建造のコンサルティングを行う「コンサルSIM-SHIP」と、市場が求める条件に合致した環境・経済性能を持つ「量産型SIM-SHIP」の両方に取り組む方針を示した。曽我部専務は「環境性能を求めていくとどうしても機器自体が高くなってしまうが、経済性能との両立を求めていく」と語った。
 旗揚げ会では、来賓として国土交通省の今井新大臣官房技術審議官が「内航ミライ研究会は徐々にステップアップし、それぞれのステップで新しい技術を着実に取り入れ、波を1つずつ乗り越えてきた。いよいよ今回は新会社設立で次のステップに移る。日本の経済と生活に欠かせない内航海運の未来に向けて国としても一緒に取り組みたい」とあいさつ。日本造船工業会の大坪新一郎副会長が「いま最も貴重な資源は“人”。この貴重な資源を大切にするのが省力化・省人化の技術であり、SIM-SHIPに大いに期待している」と語り、乾杯の音頭を取った。

あいさつする浦山氏

事業計画を説明する曽我部氏

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