2022年9月28日無料公開記事内航NEXT

RORO船でバイオ燃料試験航海
川崎近海汽船/ユーグレナ/鈴与商事

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(左から)“豊王丸”の戎谷機関長、濱村船長、ユーグレナの尾立執行役員エネルギーカンパニー長、川崎近海汽船の川﨑常務取締役、静岡県の齋藤清水港管理局長、鈴与商事の太田専務取締役、川崎近海汽船の平野船舶部長

 川崎近海汽船は、同社が保有し清水/大分航路で運航するRORO船“豊王丸”(1万3950総トン、2006年今治造船建造)に清水港でユーグレナが販売する次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を搭載し、実証試験航海を開始した。川崎近海汽船、ユーグレナと今回の給油を担当した鈴与商事が27日に発表した。
 今回の実証試験航海では、“豊王丸”の寄港地の大分港と清水港での岸壁停泊中に重油に代わって「サステオ」のみを使用し、通常業務に支障がないことを検証する。岸壁停泊中の“豊王丸”は、カーボンニュートラルの概念から燃料燃焼時に排出するCO2を最大2割程度削減できる見込み。
 ユーグレナの「サステオ」は重油と混焼することができ、内燃機関を変更せずに使用可能。同燃料は燃焼段階でCO2を排出するが、バイオマス原料が成長過程で光合成によってCO2を吸収するため、排出量が実質的にプラスマイナスゼロとなってカーボンニュートラルの実現に貢献すると期待されている。
 鈴与商事は2021年7月から自社の宅配水配送車両で「サステオ」の使用を開始し、22年3月には鈴与グループのフジドリームエアラインズの航空機への「サステオ(SAF)」の給油を実施した。同社は今回の清水港での船舶向け補油によってバイオ燃料の供給体制に関する知見をさらに深める考え。
 実証試験航海に先駆けて行われた式典で、齋藤昌昭清水港管理局長は「静岡県においても、川崎近海汽船、鈴与商事に構成員として参加頂いている『清水港カーボンニュートラルポート協議会』で、実効性のある『カーボンニュートラルポート形成計画』の策定に向けて検討を進めているところ。このような港湾の脱炭素化に向けた取り組みは、将来に向けて清水港が荷主や船会社から選ばれるためにも重要な施策であると考えている」とコメントした。

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