2022年9月2日無料公開記事内航NEXT

内航NEXT第1回セミナー開催
内航総連・NSU内航・旭タンカーのトップが講演

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 海事プレス社は、内航海運業界を応援するキャンペーン「内航NEXT」の第1回セミナーを9月1日にオンラインで開催した。日本内航海運組合総連合会の栗林宏𠮷会長(栗林商船社長)、NSユナイテッド内航海運の福田和志社長、旭タンカーの春山茂一社長が講演し、内航海運業界の現状と課題、各団体・企業の取り組みを語った。
 初めに内航総連の栗林会長が「内航海運業界の現状(日本内航海運組合総連合会の活動)」と題して講演。内航海運の社会の中での役割と特徴、業界の現状などを最新のデータを交えながら紹介するとともに、内航海運暫定措置事業の終了を受けて今年度から新体制に移行した内航総連の活動を紹介した。栗林会長は「内航海運は大宗貨物輸送を担い、陸上輸送に比べ少人数で大量の貨物輸送を実現し、環境に優しい輸送モードとして日本経済を支えてきた」としたうえで、「これからの内航海運業界は、今後の日本における労働人口の減少や脱炭素社会、そして船員の働き方改革などの課題に対応していかなくてはならない。これらに対応すべく、業務の効率・省力化や生産性の向上が必要となってくる。課題解決には荷主をはじめ全てのステークホルダーの理解と協力が必要。国・荷主・内航海運の情報共有・意見交換を通じ連携強化をすることにより、取引環境の改善、船員の労働環境改善、コスト負担への理解などの実現に向けた取り組みを行っていく」と語った。
 NSユナイテッド内航海運の福田社長は「カーボンニュートラルに向けた内航海運の現状と今後の取り組み」と題し、内航海運業界と同社の低・脱炭素化の取り組みなどを紹介した。同社が取り組む環境先進船舶の具体例として、①リチウムイオン電池搭載型ハイブリッド船“うたしま”(小池造船で2019年竣工)②リチウムイオン電池搭載型電気推進船(小池造船で2024年竣工予定)③LNG専焼石灰石専用船(常石造船で2024年竣工予定)―を紹介。②について「向島ドックが実現した『M-Power』と呼ばれるリチウムイオン電池と電気推進システムを採用し、電池容量が十分ある場合には航海中の推進と船内電力を自動的に電池電力から供給することが可能になる。これは船員の労務負荷低減と居住環境改善に大きく寄与するものと考えている」と説明した。③は同船に搭載するガス専焼エンジン・リチウムイオンバッテリー一体化システムを開発した川崎重工業が作成した動画と合わせて紹介。「内航海運の中長期CO2排出削減目標達成のため、当社は今後も人と環境に優しい船の研究開発に努力していく」と語った。
 旭タンカーの春山社長は「内航タンカー業界の現状と課題、旭タンカーの取り組み」と題して講演を行った。内航タンカー業界の現状を解説したうえで、石油需要の減少や内航船員問題、船価の高騰、次世代燃料船の開発などの課題を説明した。春山社長は「良質な輸送サービスの安定的かつ効率的な提供を行うという内航海運業に課せられた使命のもと、オペレーターの果たすべき役割・使命を再認識してこれらの課題解決に向き合い、未来ある業界に導いていきたい」と語った。また、旭タンカーの内航事業について説明。安全管理体制や運航船舶のEV化などの先進的な取り組みを動画で紹介し、DXや環境・サスティナビリティ経営への取り組みについても報告した。

栗林氏

福田氏

春山氏

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