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2025年5月22日無料公開記事海事都市今治

「パワエレこそ船の最重要技術」
BEMAC、新試験棟GIRDに関係者招き電気技術紹介

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 BEMACは21日、海事展「バリシップ2025」に合わせて、今治市内に開設したパワーエレクトロニクス研究拠点「GIRD(ガード)」に業界関係者約130人を招き、技術説明会を開催した。「いま船舶で最も重要なのはパワーエレクトロニクス技術」(小田雅人社長)とし、船舶の課題に電気の技術で応えるためのエネルギーマネジメントや電動推進などの同社の最新技術とGIRDのねらいなどを紹介した。
 説明会ではGIRDの紹介動画に続いて小田社長があいさつに立ち、「『決して止まらない船』の実現にはパワエレが最も重要な技術。当社は、温室効果ガス(GHG)や海難事故などの世界の海事産業の課題を、『電気×DX×AI』で解決を図りたいと考えており、今日は『電気』にクローズアップして紹介したい」とした。
 引き続き、同社執行役員によるプレゼンテーションが行われた。中内大介執行役員パワーエレクトロニクスセグメント長は、「BE AN EXPLORER~BEMACのパワーエレクトロニクスの取り組み~」と題して説明。パワエレ事業の取り組みとして、①BEMACグループとしてPM軸発電機や直流(DC)配電盤といった船舶電動化プロダクトを提供する「プロダクトサプライヤー」②グローバルサービスネットワークを活用した「コミッショニングアフターサービス」③顧客ニーズに応じ、グローバルパートナー企業との連携で最適ソリューションを提供する「日本版システムインテグレーション」の3本柱を紹介した。
 また、2023年11月に完成したGIRDについても言及。実負荷環境での試験を通じ、より高品質・効率的な開発・製造・検証を進めるとした。あわせて、GX経済移行債を活用し、総額9億円超を投じてDC配電盤の製造拠点を整備する計画も紹介した。
 続いて小松優一執行役員イノベーション本部長が「次世代船舶電動化とエネルギーマネジメント構想<試験棟GIRDの実負荷試験/シミュレーションの融合>」と題して講演。カーボンニュートラルの実現には、機器個別の部分最適ではなく、システムを横断しての緻密なエネルギーの情報把握や制御が不可欠とし、「実負荷試験は品質確保の最後の砦。シミュレーションでのシステムエンジニアリングの技術向上と合わせて、出荷品質レベルを向上させていきたい」と述べ、GIRDでの研究開発を通じた品質向上への取り組みを強調した。
 説明会後はGIRDの施設見学に加え、同社の独身寮「驀進(ばくしん)ベース」も公開された。

小田社長

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