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2024年11月20日無料公開記事海事都市今治

今治市がラボ開設、DX人材育成へ
造船トップら、人材不足にAIや協働ロボの活用期待

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先端の協働ロボットなどを設置

 今治市に18日、ものづくりの先端設備を整えた施設「クロステックラボ今治」(Xtech Lab Imabari)がオープンした。大型3Dプリンターや協働ロボットなどを備え、人工知能(AI)やデジタルものづくりの人材育成の拠点とし、人材採用のマッチングにも活用する方針だ。今治造船の檜垣幸人社長や新来島どっくの森克司社長ら造船・舶用のトップも参加し、造船業の人手不足解消のためにAIを使いこなせる人材育成などに期待を込めた。
 地場産業振興センター内にオープンしたラボは、高度な先端技術を持つ人材育成が目的の1つ。産業用大型3Dプリンターや協働ロボット、自動搬送ロボット、溶接ロボットなどの先端的なデジタル機器を設置し、研究や調査、創作に活用可能。造船業の自動化・省力化に必要なAIやプログラミングなどの教育・研修機能も持つ。ラボ開設に携わったスタートアップ、SUNABACOの中村良代表は「ラボはものづくりの場と教育の場であるとともに、リクルーティングの場。日本でここにしかない設備もあるので、例えば船のロボコンを開催すれば学生が集まり、そこで企業と親しくなり採用につながれば」と語った。
 開会式では、今治商工会議所会頭を務める今治造船の檜垣社長が「市内の企業がラボを大いに活用し、調査・研究や人材育成、情報提供のための拠点となることを期待している。次世代を担う子供たちにも活用してもらいたい」とあいさつ。今治市の徳永繁樹市長も「サブエンジンとしての拠点として活用してほしい」とあいさつした。
 記念イベントでは、新来島どっく、BEMAC、浅川造船の社員がSUNABACOのAI人材育成講座を受講して開発したAIによる業務効率化事例を紹介。パネルディスカッションも行われ、専門知識のない社員がAIを学習して大きな改善を実現したことについて新来島どっくの森社長は「会社の問題点を解決したいという熱意があれば開けていく。他産業に追い付くべく、人材不足を補うべく会社でDXに取り組んでいるが、業務を知っている社員自らが手掛けることで大きな成果が出せることが分かった。自分たちが業務を変えることにやりがいもあると思う」とコメントした。
 また浅川造船の浅海正明取締役は、BEMACと共同で営業資料のAIによる効率化を実現したことについて「膨大な物量が数秒でできるようになった。数千円の環境であれほどの業務効率が改善できたのが衝撃的」とし、BEMACとの連携について「お互いに困っていることが似ており、他社と一緒に解決できる道があると感じた」と語った。森社長は「浅川造船の開発した営業の仕組みは他の造船所も今すぐ欲しいツール。こういう点で協業していけば、今治の造船業、日本の造船業が中国に対して競争する非常に良い手段になる」と語った。

AI人材育成の可能性や協業でトップが議論

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