2025年10月17日無料公開記事船舶用船料先物取引(FFA)を知る使う
《連載》船舶用船料先物取引(FFA)を知る・使う⑥
FFAの市場規模と流動性
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FFAをヘッジ目的で利用する際には、市場の出来高と取組高を必ず確認しておく必要がある。
出来高とは、一定期間内に成立した売買数量を指し、この数値が大きいほど市場の流動性が高いとされる。流動性が高ければ、売買の自由度が高く、取引を円滑に行うことができる。実需筋だけでなく、いわゆる投機筋(リスクテイカー)の存在によって、市場の流動性は支えられている。
一方、取組高とは、まだ反対売買が行われず市場に残っているポジションの数量であり、この値が大きいほど市場規模が大きいと評価される。一般的に、出来高と取組高は比例関係にあり、これらの指標を確認することで、その市場が実際に取引可能な規模を備えているかを判断できる。
2024年のFFA年間出来高を見ると、最も大きいのはケープサイズで約152万日(1日平均6080日)、次いでパナマックスが約110万日(同4400日)、スープラマックスが約39万日(同1560日)となっている。一方、ハンディサイズは約4万日(同160日)にとどまり、流動性の面から見ても取引には適していない市場といえる。
この出来高が大きいかどうかを判断するため、現物の規模(=隻数×365日)と比較してみると、ケープサイズは現物比約2.5倍、パナマックスは約1.0倍、スープラマックスは約0.3倍である。もちろん、実際にヘッジを必要とする現物の隻数は、存在する全隻数より少ないため、実効倍率はこれより高いと考えられる。ただし、穀物先物市場の代表例であるトウモロコシでは約55倍とも言われており、それと比較すると、FFA市場の規模は非常に小さいといえる。
では、FFAは市場規模が小さすぎて実用性に欠けるのかというと、必ずしもそうではない。FFA市場の主な参加者が船社、荷主、投機筋に限られるのに対し、穀物先物市場には輸出入業者に加え、中間流通業者や製造業者など、より多様なプレーヤーが存在する。また、投機筋の資金量もFFA市場とは比較にならない。したがって、他の商品先物と比べれば規模は小さいものの、ケープサイズやパナマックスに関しては、現状の参加者層にとって十分に機能する市場といえるだろう。
スープラマックスやハンディサイズのFFA市場規模が小さいのは、これらの船型が多様な貨物を扱い、価格決定の仕組みも複数存在するため、各プレーヤーが取引の中である程度リスクを吸収できているからだと考えられる。
実際には、一定の相関が認められる場合、ハンディサイズのヘッジをスープラマックスFFAで、スープラマックスのヘッジをパナマックスFFAで代替している参加者も多い。
2008年のリーマン・ショック以降、FFAは与信リスクの高い相対取引から、清算機関を通じた取引へと移行し、取引の透明性と安全性が大きく向上した。さらにコロナ禍においては、急激な相場変動を背景に出来高・取組高が急増し、用船料のヘッジ市場としての存在感を示した。
相場商品にとって先物市場の存在が不可欠であることは、穀物やエネルギーの例を見ても明らかである。FFA市場においても、今後さらなる参加者の拡大が期待される。