2025年9月16日無料公開記事
<洋上風力特集>
NEDO事業でケーブル船など開発
住友電工・古河電工・日本郵船・商船三井
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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2020年度から、「多用途多端子直流送電システムの基盤技術開発」事業で、洋上風力を効率的に電力系統と接続でき、地域間連系線としても活用可能な多端子直流送電システムの技術開発に取り組んできた。同事業は信頼性が高く効率的な風力送電を可能とする高圧直流技術の開発や、制御技術、実用化に向けた課題の整理・抽出、長距離海底直流送電の整備に必要な技術開発などを目的としている。その一環として、23年6月に住友電気工業と古河電気工業、日本郵船、商船三井の4社が共同で提案した「ケーブル防護管取付等の工法開発及び新型ケーブル敷設船等の基盤技術開発」を採択。同研究開発では敷設船や接続船、埋設船、ケーブルの防護工法や監視技術の開発などに取り組んでいる。
同事業は2020年度から25年度までの6年間を予定しており、2023年度までに「多用途多端子直流送電システムの開発」「多端子直流送電用保護装置の開発」「直流深海ケーブルの開発」を実施してきた。
4つ目のテーマとして、23年度から住友電工ら4社が取り組む同技術開発は2025年度までの実施を予定している。ケーブル防護管取付などの工法開発と、共通基盤技術調査などは住友電工と古河電工が担当。船に関しては、敷設船を日本郵船と住友電工が、接続船と埋設船の開発を商船三井と古河電工が担当している。なお、住友電工と古河電工は「直流深海ケーブルの開発」にも参画しており、2件目の採択となった。
ケーブル敷設船の開発については、住友電工が「直流深海ケーブルの開発」においても取り組んでおり、日本郵船は2022年に外注先として日本特有の条件に適した自航式のケーブル敷設船の初期概念設計を実施した。日本郵船は2024年には「ケーブル防護管取り付け等の工法開発および新型ケーブル敷設船等の基盤技術開発」の一環として、国内における長距離海底直流送電網整備に向けたケーブル敷設船について、日本海事協会(NK)から概念設計承認(AiP)を取得。同社は住友電工との協力のもと、敷設船の基盤技術の開発を行っており、古河電工の協力も得て、AiPの取得に至った。現在は本船の設計を進め、NKからの基本設計承認の取得を目指している。
商船三井と古河電工は長距離送電ケーブルの接続を行う船を「接続船」、損傷を防ぐために海底にケーブルを埋設させる作業の支援船を「埋設船」として、開発を行っている。長距離海底送電網の構築にあたっては、一度に敷設できるケーブルの距離は限定されていることから、複数回にわたり敷設されるケーブルを洋上で接続する役割を果たす作業船が必要となる。また、海底に敷設したケーブルの埋設に主に用いられる遠隔操作無人探査機(ROV)の母船となり、ROVを海底に設置、引き揚げを行う作業船を埋設船として、設計を進めている。