2025年5月23日無料公開記事バリシップ2025

【バリシップ2025】
日本郵船長澤会長が基調講演
バリシップフォーラム2025初日、造船首脳座談会も

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日本郵船の長澤会長

 「バリシップ2025」初日の22日午後、併催イベントとして恒例の「バリシップフォーラム2025」が今治国際ホテルで開催され、海事産業の首脳が講演、パネルディスカッションを行った。国際会議には約700人が参加し、2日間にわたり開催される。初日は日本郵船の長澤仁志会長が「未来へ、日本の海事クラスター~そして私たちの責任」と題し基調講演し、「海事クラスターは成長産業で大きな未来の需要がある。資源を持たないこの国において海事クラスターは経済安全保障という意味で絶対的に必要な存在ということを改めて確認しよう。その中で強靭なサプライチェーンを再構築して魅力ある産業として、次世代にわれわれは残していく責任がある」などと語った。このほか、造船首脳によるパネルディスカッションが行われた。
 冒頭、徳永繁樹・今治市長が開幕あいさつに立ち、今治市は10年前に言われた消滅可能性都市を脱却したものの人口減少のトレンドは例外なくあるとし、「そのよう中にあっても海事産業の頑張りでいわゆるトリクルダウンが効いている地域ではないかと思う」とコメント。同市が24年度に「今治海事都市発展ビジョン」を策定したことに触れ、「(ウェルカムパーティーが開催われる)本日夕刻にいま一度、皆さんにお伝えしたい」などと語った。
 日本郵船の長澤会長は、日本の海運業や造船業などの変遷や、海事クラスターを取り巻く環境や課題、日本における海事クラスターの意義について説明。海事産業が将来にわたって魅力ある産業としてあり続けるためには「海事クラスターを構成する業界皆が支え、人材を確保し、技術を発展させることで成し遂げられる」とした。海運業に対しては、世界におけるプレゼンスの高さを「非常にありがたいこと」とし、「これを維持して業界の枠を越えて連携をリードしていくという気概を持ってやっていきたい」と語った。海運業界における次世代船舶開発などでの協業の具体的な取り組み例を示しながら、「こういった協業の動きを全体で進めていかないといけない」。造船・舶用機器業界へに向けては「大手から中小企業までが抱える喫緊の課題を乗り越えていく体制、例えば日本版SDARIのような体制を考えてみたらどうか」などの提言を述べた。
 その後、造船首脳が「日本造船の挑戦と復活」をテーマにパネルディスカッションを行った。今治造船の檜垣幸人社長、尾道造船の中部隆社長、新来島どっくの森克司社長、名村造船所の名村健介社長、日本中小型造船工業会の田中敬二会長がパネリストとして登壇し、伊藤忠商事の藤本博和プラント・船舶・航空機部門長代行が司会を務めた。
 バリシップフォーラム2025は海事プレス社、今治市海事都市交流委員会、インフォーママーケッツジャパンが主催。日本海事協会によるランチ提供(23日のみ)、Mマリタイムによるコーヒーブレーク提供を行う。カレリス・ナビス、パナマ海事庁が協賛した。

徳永今治市長

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