2025年3月4日無料公開記事

「万博で未来への『風』感じて」
商船三井、水素生産船の体験展示、フェリーコラボ企画も

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ウインドハンター模型を軸とした展示ブース

 大阪・関西万博開幕まであと1カ月あまりとなる中、商船三井は3日、大阪市内で、万博での同社の展示内容などを紹介した。「WIND VISION」をコンセプトとした同社ブースでは、風を捉えて洋上で水素を製造・運搬する次世代船プロジェクト「ウインドハンター」を軸に展示し、未来の船の可能性を提示する。グループの商船三井さんふらわあも、万博とのフェリーコラボ企画を展開する。
 商船三井は、万博会場の西側エントランスに近い位置に12企業・団体共同で「未来の都市パビリオン」を展開する。商船三井のブースは、風の力でクリーンな社会を作る様子を学ぶ体験型展示。長さ4m×高さ3mのウインドハンターの大型模型と大型スクリーンの映像が連動し、ウインドハンター上の12本の帆に来場者がうちわで風を当てると帆が風を感知して回転・拡縮、背景の大型スクリーンでは風を使って船が航行し、水素を製造・供給する様子が表示される。起こした風の量に応じて、異なるストーリーが映像で展開され、「一所懸命あおげば、世界中に水素が行き渡るハッピーエンドになる」
 展示は小学校高学年から中学生をメインターゲットとし、遊びながら海運業や商船三井に魅力を感じてもらうのがねらい。「万博は映像展示が多いが、数少ないリアルな展示物で、記憶に残る体験にしてもらいたい」という。
 スクリーンでは、船の役割や、風と船の歴史、ゼロエミッション船など、さまざまな映像も放映する。また、隣接する川崎重工の水素燃料モビリティのブースと連続した展示とし、ウインドハンターで作った水素で川重のモビリティが動く水素サプライチェーンのコラボ映像を、2社連続の長さ17mのスクリーンでダイナミックに表示する。
 ウインドハンターは商船三井が実現を目指している水素生産船。風力によって推進する際に水中タービンで発電し、この電力で水素を生産し、船内にMCH(メチルシクロヘキサン)として格納・荷揚げするコンセプト。実証艇“ウインズ丸”をこのほど、実際に水素が生産・格納できる水素生産船に改造し、今週末に東京で初試走を行う計画だ。万博会場で未来技術として展示するのと並行して、実用可能な技術としての実証も進めることになる。
 万博に合わせて商船三井さんふらわあはコラボ企画を展開する。九州に住む人にお得に万博を楽しんでもらうため、往復乗船券と入場券のセット販売を開始したほか、万博公式キャラクター「ミャクミャク」がさんふらわあの制服を着た「ミャクミャク船長」の各種グッズを船内ショップなどで販売。またSNSでの投稿に応じて乗船券と万博チケットが当たるキャンペーンも実施する。
 このほか万博期間中の7月には大阪市内に商船三井ミュージアム「ふねしる」をオープンすることも発表した(別項参照)。万博をきっかけに、船の現在と未来を知ってもらう取り組みを大阪で広く展開することになる。

大阪市内で万博展示を紹介

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