2025年11月19日無料公開記事
軸系で売上最高を連続更新中
バルチラシャフトライン、富山工場も増強
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船舶用推進軸系システムを専門とするバルチラシャフトラインソリューションズ(Shaft Line Solutions、SLS)の事業規模が拡大している。近年はライフサイクルビジネスが好調で、SLSヴァイスプレジデントのロブ・バーフォード氏は「過去4年連続で売上最高記録を更新しており、2025年も過去最高を達成する見込みだ」と説明する。今後、年率10%の継続的な市場拡大が見込まれる中、中核拠点のバルチラジャパン富山工場では、工場の生産能力増強やオフィスの改修が進められている。バーフォード氏に取り組みの現状や今後の展望を聞いた。
― SLS事業の事業環境と、今後の見通しは。
「新造船向けの販売と、既存船向けのライフサイクルビジネスがともに拡大しており、特にアジア地域での成長が顕著だ。今後5年間は年率10%超の成長を見込んでいる。新造船向け販売に加え、スペアパーツ、フィールドサービス、アップグレード・レトロフィットなど、各セグメントで堅調な伸びが続く見通しだ」
― 新製品について。
「新技術の開発を担うSLSの研究開発チームが、広範な顧客フィードバックに基づき、商船向けに新ソリューション『FuTube』をリリースした。これには、ライフサイクルの保守コストと環境リスクを低減する改良型シール、リアルタイム分析を提供し、悪条件の運転状態に先制的に対応するインテリジェント船尾軸受、予防保全と問題検出のためのリアルタイム情報を提供するシャフトライン監視システム、そして、運用コスト削減と船舶の将来性確保を両立する特許取得のコンパクト船尾軸受システムが含まれる。採用は堅調で特に先見の明のある船主・オペレーターに好評だ」
― 富山工場の現況について。
「富山工場は2021年に新築移転し、シール装置の製造工程は材料の受け入れから出荷までがスムーズに流れるよう一方向のワークフローを実現できる設計になっている。最新の複合加工機を導入し、船尾管シール、スラスターシールなどを一貫生産することで、品質管理と効率性を両立する。従業員は100人強で、国内外に製品を供給し、グローバルSLSネットワークにおける中核拠点として機能する」
― 富山オフィス・工場の新築移転の目的と詳細は。
「この投資の目的は従業員が効率的に働ける環境を整えることだ。オフィスではペーパーレス化やフリーアドレス制を導入し、社員同士のコミュニケーションやコラボレーションを促進している。工場では、作業を効率的に進めるため工程を最適化した」
― 今後の設備投資計画は。
「今後の市場の成長に対応するため、複合加工機の追加導入や、新技術の導入、最新の安全設備の確保を計画している。自動化と持続可能性向上を重点とし、具体的投資額は非公開。新工場への投資は、SLSにとって富山工場の戦略的重要性を裏付けている」
― 今後注力するテーマや施策は。
「富山工場では、従業員の育成を最優先課題とし、新たなスキル習得や能力開発を進める。例えば、最新の統合基幹業務システム(ERP)を導入し、AIやデジタル化による業務効率化にも取り組んでいる。さらに、環境責任にも注力し、二酸化炭素排出量の削減やスマート製造の推進を戦略的優先事項として進めている」
「継続的改善活動の一環として、バルチラ継続的改善(WCI:Wartsila Continuous Improvement)を基盤としたカイゼン(改善)活動を展開。日本流の改善手法を取り入れ、作業効率と品質を向上させ、毎年着実に顧客価値を高めている」
― 環境・デジタル分野の取り組みは。
「富山工場への太陽光パネルの設置や、社用車のアップグレード、駐車場・施設の改修などで環境負荷の低減に取り組んでいる。さらに、工場内のデジタル測定機能やAIの活用により、作業効率向上と廃棄物削減にも取り組んでいる」
(聞き手:岡部ソフィ満有子)