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2025年9月9日無料公開記事

書籍「運航データの性能解析」発行
ShipDC、実海域性能評価の手法をわかりやすく解説

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 シップデータセンター(ShipDC)はこのほど、新刊書籍「ShipDCデータハンドブック -運航データの性能解析-」をオンデマンド印刷方式で発行した。環境規制が強化され、燃料削減や温室効果ガス(GHG)排出管理の重要性が増すなか、船舶の運航性能を正確に評価することが船主や船舶管理会社らにとっても不可欠となっている。こうした背景から、実務で使える性能解析の方法を体系的に示した入門書としてまとめた。
 同書は、運航データの収集方法から解析手順までを、現場で役立つ形でかみ砕いて解説している。従来、実海域性能評価は専門技術者向けで理解が難しい場合が多く、船会社や造船所などで性能評価に関わる担当者にとっても敷居が高かったが、本書は「性能評価の見本」として、高度な専門知識を持たない人でも理解できる手順を示すことを目指している。
 本書は全6章構成。第1~3章では、データの管理・収集・保管といった基盤を整理し、ShipDCとIoS-OP(Internet of Ships Open Platform)コンソーシアムの役割や取り組み、センサーデータの計測法、データ品質の評価などを解説する。第4章では船の推進性能や気象・海象、GHG国際規制といった背景知識を補い、第5章ではデータ解析の手順を具体的に紹介。最終章では海運会社や舶用メーカーによる運航性能解析事例を示している。結果グラフの読み方やデータのばらつきの扱い方も丁寧に示しており、「知識」と「現場の実践」をつなぐ入門書となっている。
 同書は、ShipDCが船社向けに実施する、運航性能解析勉強会のエッセンスも盛り込み、実務的な視点でまとめられている。
 出版はオンデマンド印刷を採用し、在庫リスクを最小限に抑えつつ、必要な読者に適切に届けられる仕組みとした。
 対象読者は、自社船舶の性能を評価したい船会社や、自社建造船の実海域性能を把握したい造船所、エンジンメーカーや塗料メーカーなど、性能改善や投資効果の検証に関わる海事関係者全般。「性能評価は特別な技術ではなく、広く使える共通手法」と位置づけ、業界全体のデータ活用推進を目指す意図もある。
 池田靖弘社長は「船の生涯を通じて最良のパフォーマンスを維持するには、データを生かして課題を『見える化』することが不可欠」と強調。IoS-OPの取り組みや本書の発行を通じ、「『良い船・良い運航・良い管理』の実現を支援していく」とした。
 B5版、140ページ。定価1万円(税別)。下記サイトから購入可能。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4600016238
  • 増刊号シンガポール2025
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