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2025年8月21日無料公開記事

設備投資で軸受の生産能力拡大
大同メタル工業、27年度に23年度比30%向上へ

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前原工場に設置されたFMS

 総合すべり軸受メーカーの大同メタル工業は、世界的な新造船需要の高まりや一般産業ではデータセンターをはじめとする発電機用などの旺盛な需要に対応するため、それらに用いられる低速・中高速エンジン用軸受の生産能力を大幅に引き上げる。設備の更新や新たな工場の建設などを進め、いずれも2027年度に、23年度比で約30%の増強を計画する。
 同社の24年の低速エンジン用軸受の世界シェアは75%に達している。一方で、中国を中心に新造船需要が急拡大しており、これに対応するため、急ピッチで生産体制の強化に取り組んでいる。
 低速エンジン用軸受を手掛ける犬山事業所内の前原工場では、既にFMS(フレキシブル・マニュファクチャリング・システム)3基を導入し、24時間稼働体制を確立している。また、最新の大型圧延機や大型プレス装置、ロボット搬送装置を導入することで、生産の効率化と安定化を図る。さらに、最終工程向けには、寸法精度が求められるメタルの高さや内面仕上げの加工に対応する専用設備を追加で導入予定。特に内面仕上げ用の設備は独自開発によるオリジナル設備であり、高性能・高効率な加工体制による増産を進める。
 中高速エンジン用軸受の生産拠点では、新たに2つの建屋を建設。グループ会社の大同インダストリアルベアリングジャパン(DIBJ)敷地内に整備し、既に稼働している1棟に加え、2026年春頃に犬山事業所内に完成予定のめっき専用新工場の稼働により、表面処理工程の強化を図る。欧州の英国拠点でも、生産設備の統合と再配置を進め、効率的な生産体制への移行を図る。
 これらの設備投資を中心とした成長投資として、25~27年度の3年間でマリン・エネルギー分野に60億円超を投じる計画だ。全社で見ても最大規模の投資額であり、同事業の成長ポテンシャルへの強い期待がうかがえる。
 同社第2カンパニープレジデントの石原幸二氏は、「能力増強と自動化を両輪に、生産性向上を図る。増え続けるお客さまからの引き合いに的確に応え、低速エンジン用軸受のシェア75%を維持するとともに、さらなる事業拡大を進めていきたい」と力強く語った。

前原工場に備えられた大型プレス装置

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