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2025年3月28日無料公開記事

ヒートポンプ式空調機を日本展開
ダイキンMR、省エネと燃料移行に対応

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ヒートポンプ式舶用空調機「デッキユニット」のイメージ

 ダイキンMRエンジニアリングは、ヒートポンプ式舶用空調機「デッキユニット」の日本展開を開始する。先行して投入した中国造船市場でのフィードバックを反映し、操作パネルの改良を行ったほか、日本向けに部品の規格変更を図った。4月から受注を開始する。同空調機は、陸上のエアコンで広く採用されている「ヒートポンプ技術」を船舶向けに応用しており、暖房時に利用する熱源を変えることで、二酸化炭素(CO2)排出削減を実現する。新燃料への移行に伴う課題にも対応しており、船舶の脱炭素化に貢献する。
 同社は2023年10月、先行して中国市場向けに同空調機を発売し、これまで20隻以上を受注している。日本市場展開に向けては、操作パネルの仕様変更や、機器と船内の取り合い部分の部品の規格変更などを実施。中国市場に先行納入して得られたニーズを反映するとともに、日本での入手性改善を図った。
 船舶の代替燃料への移行が進むと、燃料タンク容量の大型化による他の舶用機器の設置スペースの制約や、空調機の暖房用などに用いていた船内の雑用蒸気の減少といった課題が懸念される。ヒートポンプ式デッキユニットは、これらの課題に対応するよう開発した。従来型デッキユニットと同様、空調機に必要な機器をパッケージ化し、設置スペースを削減。また、船内蒸気の不足には、ヒートポンプ式の採用で対応する。空調機内に取り込む水から熱を吸収して暖房に利用することで、消費燃料と温室効果ガス(GHG)排出を削減する。同社の試算によると、一定の条件下では、暖房運転時の燃費差を従来方式と比較した場合、重油の場合は42%、メタノールは66%、アンモニアでは64%の燃料消費量の削減となる。
 同空調機は圧縮機系統の容量制御の分解能を向上させており、負荷に応じた最適な運転ができるため、従来機や他社機と比較して冷暖房の両方で省エネ効果を発揮する。また、圧縮機の稼働時間を短縮するため、個々の圧縮機の稼働時間に応じて自動的に稼働する圧縮機を選択する機能を搭載。これにより、圧縮機1台あたりの稼働時間が短縮され、「ユーザー不安である、暖房時の圧縮機稼働による短寿命懸念の払拭につながる」(同社企画部商品企画グループ)。さらに、蒸気配管が不要なため、ウォーターハンマーなどによる蒸気コイルや蒸気弁の故障リスクがなくなり、蒸気配管のメンテナンスが不要なため、エンジニアの負担も軽減される。
 日本市場での販売を機に、中国市場以外のグローバル向けにも販売する予定だ。同社企画部商品企画グループは、「今後もグローバルでの脱炭素化に向けて、貢献できる製品を開発・投入していく」としている。
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  • 増刊号日本郵船