《連載》次代への戦訓
利害が一致しない相手との交渉
岩本洋・造船関係専門家委員会（ＣＥＳＳ）前委員長②

　私は1969年に石川島播磨重工（現ＩＨＩ）に入社した。外国船営業課に配属され、相生工場の工場営業に就いた。工場営業は、造船所の生産現場と、船主の建造監督との間に立つ仕事だ。監督は、国や人によって考え方もやり方も違う。点数を稼ごうとする監督もいる。だが、たちの悪い監督だと決めてかかると、見えなくなることや、かえって進まなくなることもある。重要なのは信頼関係だと痛感した。 　当時の相生は、...