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2025年10月18日無料公開記事

IMO、GHG中期対策の議論を1年延期

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国際海事機関(IMO)の臨時海洋環境保護委員会(MEPC)は最終日の17日、国際海運の温室効果ガス(GHG)削減に向けた中期対策(IMOネットゼロフレームワーク)の議論を1年延期することを決議した。今年春に枠組みの内容で合意し、今回の会合での採択が予定されていたが、反対を呼びかける米国の激しいロビー活動によって審議が紛糾し、延期が決議された。延期により脱炭素に向けたスケジュールが後ろ倒しとなるが、IMOは「それまで加盟国は合意形成に向けて引き続き取り組む」としている。

IMOでは今年4月に開催された第83回MEPCで、船舶の使用燃料のエネルギー当たりのGHG排出量(GHG強度)を規制する制度と、ゼロエミッション燃料船などに対する経済的インセンティブを組み合わせた制度の枠組みで合意していた。予定では、今回の臨時MEPCで採択し、最速で2027年3月に発効する見通しだった。

だが、米国がこの規制案に強硬に反対。MEPC開幕直前の10日にも「提案を断固として拒否する」との声明を改めて発表し、加盟国に反対を呼びかけ、賛成票を投じた国の船舶に対して米国入港時に入港料を課すなどの対抗措置を検討すると圧力をかけていた。

14日に開幕した臨時MEPCでも米国はサウジアラビアなどの産油国と共に反対を会議内外で呼びかけたもよう。委員会の最終日の審議を控えた16日にはトランプ大統領が自身のソーシャルメディアに「米国は海運に対する世界規模の〝グリーン詐欺税”をいかなる形でも支持しない」「明日ロンドンで反対票を投じよう」と書き込んでいた。

海外紙などによると、今回のMEPCで米国とサウジアラビアは規制発効の手続き変更を提案。実質的に規制発効のハードルを高める提案で、これに対してブラジルなどが反発し、最終日の17日になっても手続き論などをめぐって議論が紛糾した。最終的には、議論を延期するかどうかが投票にかけられ、わずかな差で「延期」が多数となり、12か月後までMEPCを延期することが決議された。

なお20日から24日に予定されていたGHG排出削減に関する作業部会は予定通り行い、中期対策を実施するために必要なガイドラインの策定作業を継続する。
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