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2023年3月14日無料公開記事洋上風力発電

●長崎海洋産業クラスター形成推進協議会
24年にGWO訓練開講、伊王島に訓練施設

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浮体式洋上風力発電コースのワークショップのようす

 長崎海洋産業クラスター形成推進協議会は日本財団の支援のもと、長崎県と長崎大学、長崎総合科学大学と連携し、2020年10月に長崎海洋アカデミー(NOA)を開講し、洋上風力関連技術者育成のための教育プログラムを提供している。事業開発などを担う技術者向けプログラムに加えて、24年秋には洋上風車の保守などを担う作業員の育成に向けた訓練施設を開校し、GWO訓練を提供する予定だ。
 同協議会は14年に任意団体として地元企業8社により設立され、同年10月にNPO法人化、現在では会員企業は100社に拡大した。教育プログラムのほか、長崎県内の地場産業と共同での浮体式風況観測塔の開発や、潮流発電事業の地域協調・環境調査などに取り組んでいる。
 洋上風力作業員の育成に向け、長崎市伊王島に洋上風力訓練施設を新たに開設する。日本財団の支援のもと、日本海事協会と連携し、マースクトレーニング社のコンサルティングを受け、GWO訓練を提供する。訓練用に洋上にタワーを建設し、CTVから洋上風車への乗り移り訓練も視野に、実技に踏み込んだ訓練を行う。
 訓練メニューは基本安全訓練(BST)に加え、基本技能訓練(BTT)、アドバンスト・レスキュー訓練等の導入を予定している。BSTの受講者数は年間500人を目指す。
 NOAでは現在、技術面の管理業務などを担う技術者育成に向けた講座として、洋上風力に関わる総論、事業開発、洋上施工、認証・保険・ファイナンスなど6コースを開講している。いずれも2日間、定員20人。対面とオンラインのハイブリッド形式で実施している。コース受講者は発電事業者やコントラクター、海事関連事業者など多岐にわたり、これまで延べ600人弱が受講した。年内には新たに入門コース、洋上風力観測・解析と発電量予測コース、O&M(運用・保守)コースを開講する予定だ。
 この授業ではアクティブ・ラーニングとして、座学だけでなくミニチュア・ウィンドファームの建設やサイト開発シミュレーション・ゲームなど実際に手を動かして学べるワークショップを数多く取り入れている。「ゲームなども取り入れることで頭に残る工夫をしている」(松尾博志エグゼクティブコーディネーター、以下同じ)。また、地元企業が制作したVR(仮想現実)を活用し、CTVや洋上風車の内部を体験できるシステムを構築している。
 コース3日目にはオプションとして、長崎の五島を訪問し、浮体式洋上風力発電やブルーカーボンの取り組み、漁業組合などの見学を行っている。「地域全体の活動や地域住民が抱える課題などを考えてもらうという趣旨で多種多様な見学を行っている」。
 現在実施している技術者向け、24年に開始する作業員向けに加えて、将来的には油圧技術や電気、機械分野など洋上風力発電機に精通した技能者の育成にも関与を目指し、風車メーカーと連携した高度な技能訓練やROV(遠隔操作型無人潜水機)やドローンを活用した訓練プログラムの提供を視野に入れる。
 また、大学・大学院生向けの教育コンテンツの開発やNOAの提供講座さらなる拡充を目座す。「訓練内容について『技術者』と『技能者』、『作業員』向けで分類しているが、実際には全て密接に関わっている。3つすべてを1カ所で勉強できるような場を作りたい」と考えている。

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