2023年3月14日無料公開記事洋上風力発電
●ウィンド・パワー・グループ
洋上風力産業集積地・鹿島で人材育成へ
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プール一体型のトレーニングセンター(内観イメージ)
ウィンド・パワー・グループは1998年に風力発電事業に参入した独立系発電事業者で、2010年には商業用で日本初の洋上風力発電所となるウィンド・パワー(WP)かみす第1洋上風力発電所を茨城県・神栖市の沿岸に建設した。同発電所は東日本大震災の巨大地震や津波の影響も乗り越えた実績を持つ。13年にはWPかみす第2洋上風力発電所を一部海上施工により建設し、洋上に設置した計15基のO&M(運用・保守)を行っている。ウィンド・パワー・グループは事業者として長年培ってきたノウハウとO&Mの実績を活かし、24年には洋上風力作業員を育成するトレーニングセンターを神栖市に建設し開業する予定だ。
トレーニングセンターではGWO訓練を提供し、将来的には年間1000人程度の受講者を受け入れる予定をしており、まずは基本安全訓練(BST)の提供から開始し、基本技能訓練(BTT)やアドバンスト・レスキュー・トレーニングの提供も視野に体制づくりを進めている。
現在の準備状況としては、すでに台湾のTIWTC(台湾インターナショナル・ウィンドワー・トレーニング・コーポレーション)でインストラクター2人を育成し、訓練用プールの建設にも着手。23年度はさらに3人のインストラクターの育成を目標としている。「トレーニングセンターの開業の予定を前倒し、なるべく早く訓練を提供できるよう準備を進めている」(ウィンド・パワー・グループ経営企画室の小松﨑崇熙室長、以下同じ)。
また、同社は現在、東京ガス、日本風力エネルギーとともに鹿島港洋上風力発電事業を推進しており、同事業は26年の稼働を予定している。稼働時にはすでにトレーニングセンターで訓練の提供を開始していることから、同事業とも協力したうえで洋上風力の人材育成を行っていく考え。
首都圏に隣接する鹿島地域には洋上風力発電建設の基地港湾の整備が進められていることに加え、鹿島港洋上風力発電所や、変電所の建設も予定されており、国内有数の産業集積地だ。「このような地域にトレーニングセンターを建設することは洋上風力産業の集積という観点でも非常に重要だと考えており、地元企業として地域に貢献していきたい」。